墓標

 明け方に眠り、早朝に目覚めた。頭の奥が鉛のように重い。ベッドに暫く横になったまま、10時ごろに体を起こした。洗濯物を干し、深夜ラジオのタイムフリーを聴く。カーテンを開ける。3月に買ったサボテンが、室外機の上で静かに呼吸していた。花は枯れていた。もう死んでいるのかもしれない。

 部屋に戻り、お湯を沸かし、暫くぼーっとする。頭が重い。胃がキリキリと痛み、睡眠薬の残りを確認し、酒が飲めればいい、とぼんやり思った。お湯が沸く。カップラーメンにお湯を注ぐ。残留思念、という言葉がなぜか頭に浮かび、湯気とともに消えていった。

 

 

 胃が痛む。胃薬は安く貰えるだろうか。頭が重い。今日はあまりいい天気じゃなかった。考えあぐねている内に、日が暮れていく。西日が差して、部屋がオレンジ色になる。晴れたようだった。煙草を2本吸った。

 

 死にたい、と思う。でも、歩かなければならない。生きていく道理が分からないが、それでも、歩く他ない。金を稼がなければならない。そのために働かなければならない。苦しい。申し訳がない。でも、贖罪はできない。だから、精神を苛みながら、見えない道を一歩ずつ踏んでいく。もうどう足掻いたって戻れない。卑怯だろうか?でも、こうなった責任の一端を私は背負っていかなかればならないし、そこに救済なんてある筈がなかった。懺悔もせず贖罪もせず、ただ、黙って歩き続ける他、私にはもう、残されていなかったのだと。気付いた時には、いつも遅すぎる。

 

 

 夜、私は穴を掘る。善良になろうと誤った、過去の死骸を埋めるため。自愛や自責や好意や後悔や、それらを起点とし発せられた言葉や、言い訳や、償いや、その他多くのものを埋め、代わりに過去の骸から滲み出る罪悪だけをポケットに入れて。

 此処を墓標とし、ただ苦しみとだけ、歩くため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さようなら。